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「こころを理解するための新たなフレームワークとしてのウェブ」を聞いて

  • 2011/10/16(日) 23:21:50

2011京都大学国際フォーラム「新たな知の統合に向けて」での池上高志さんの講演「こころを理解するための新たなフレームワークとしてのウェブ」を聞いての簡単で不正確なメモ。


こころとは何か、意識とは何かという問題は、それに向かってどう始めの一歩を踏み出せばいいかも分からないような、非常にチャレンジングな問題である。

例えば脳細胞の織り成すネットワーク構造に「意識」を見出そうと、パソコン上にニューラルネットワークをシミュレートしたとて、なかなかその中に「意識」を見てとることはできない。これは意識とは何かという問題をネットワーク構造に帰着して考えることの限界を指し示しているように思える。

しかし以上の議論ではスケールの問題が見落されている点に注意しなければならない。1台のパソコンによって構成されるネットワーク構造は、脳がつくるネットワーク構造に比べて遥かに小規模なものである。このような小規模なネットワーク上に意識の萌芽を見てとれないからと言って、そこから脳のような大規模ネットワーク上の意識までもを否定することはできない。なぜならネットワークというものはスケールが変わればその定性的な性質までもが変化する可能性を秘めているからである。量的な変化が質的な変化へと転換すると言ってもよい。

実際にインターネットという名のネットワーク構造は、このような量的変化から質的変化が生じる好例である。インターネット上を流れる情報が肥大化していくにつれて、情報を蓄えるためのストレージが増加するのは言わずもがな、情報を蓄えるためのアルゴリズムや、蓄えた情報を引き出すための検索アルゴリズムまでもが変化していった。これは洋服が増えてきたときに僕らがどういう行動を取るかを考えればわかりやすい。服が増えたときに、単純にタンスを買い足して今までどおりに収納していたのでは、どこにどの服があったのか分からなくなってしまう。そこで季節の服ごとに分類して収納をしてみたり、あるいは引き出しの頭にラベルを貼って検索をしやすくする。服が増えるという量的な変化が、収納アルゴリズムや検索アルゴリズムといった質的な変化を引き起こしうるのだ。 ネットワークのスケールが変化すれば、そこに新たな構造が芽生える可能性がある。

ではこのような大規模ネットワークであるインターネット上に、意識の可能性を探ることはできるだろうか。更にはインターネットを脳のネットワーク構造のメタファーとして捉えることで、意識の問題に対する新たな展開が開かれるのではないだろうか。

例えば意識の自律性というものを考えてみよう。人の脳は環境からの刺激や入力がないときでさえ、ニューラルネットワークは活発な活動を続け、やがて来たる刺激に対してその姿勢を整えている。ではインターネットの場合はどうだろうか。もし世界中の全ての人がパタリとインターネットを使うことを止めてしまったら、インターネットはその活動を止めるであろうか。そうではない。外界からの接続が絶たれたとしても、Googleの産みだした巡回ソフトがインターネット上の情報を駆け巡り、やがて来たる情報を待ち構えている。ここにインターネット上の意識の自律性とも言えるものを見てとることができないだろうか。

こうしてみると、ヒトは自らがつくり出したインターネットのことを、もはや完全には制御することができなくなったという事実に気付く。インターネットは産み親であるヒトの手を離れ、独自のリズムでその鼓動を刻み始めたのだ。一方でインターネットはヒトが生活していく上で必要不可欠の存在となっている。ヒトがインターネットを開発し使用しているという従来の状況は一変し、今ではヒトとインターネットとが対等な関係として共生を始めたのだといっても過言ではないだろう。この制御不能であり、ヒトにとって不可欠のパートナーであるインターネットは、もしかすると人類が創りだした初めての人工生命なのかもしれない。

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